フローとストック
決算対策はフロー対策。相続対策はストック対策。
5億円の収益物件を、自己資金5千万円、借入4億5千万円で実行する場合、借入金利を0.9%、返済期間を30年、諸経費率を15%、表面利回りを10%、空室率を5%とした場合、最終手取りキャッシュフローは、約2287万円となる。これに対して、5千万円の収益物件を、全額自己資金で実行する場合、同一条件でみると、最終手取りキャッシュフローは、400万円となる。当然のことながら、借入によるレバレッジ効果が効いているのがよくわかる。
次に、空室率が50%になった場合を計算してみると、5億円の収益物件の場合の最終手取りキャッシュフローは37万円、5千万円の収益物件の最終手取りキャッシュフローは175万円となる。
さらに、5億円の収益物件を個人で建築した直後に相続が発生した場合、借入4億5千万円は相続税の減額要素となるが、5千万円の収益物件の場合は、全額自己資金による建築であるため、相続税の減額要素は存在しない。
この議論は、不動産経営に携わるものにとっては日常的な話題であるが、ここで言いたいのは、その両パターンを比較した上での全体最適とは何かということである。
経営数字上の議論はもちろん大切であるが、フロー対策はまだしも、ストック対策においては、数字上の議論やシミュレーションだけでは語れない部分が格段に多いということだ。
よくある失敗は、相続税対策で多額の借金をして収益物件を建築し、減価償却費の減少と空室率の上昇による採算の悪化によるキャッシュフローの目減りが蓄積されていき、最終的に物件を売却せざるをえなくなるというパターンである。
不動産経営の場合は、事業計画をたてる際に、キャッシュフローに加えてストックの分析を同時に行っておくことが重要である。そしてその分析は、各物件毎にそれぞれ単独で算出し、一覧表にしておくのが望ましいと言える。
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失敗は成長の種
1円を笑うものは、1円に泣く。
かなり前の話になるが、水回りのトラブルで1500万円の損失を計上したことがあった。日曜日の夜中にその事故は起こり、気づいたときには大規模な修繕工事が始まったいた。
経営とは決断である。
決断は、自分の心に余裕がないときはしてはいけない。
経営者の最も大切な仕事は、常に心の余裕をもっていられるように自分をセルフコントロールすることである。
人生は幻想である。その幻想を幻想として認識し、その幻想を真実だと勘違いしないでいられる心の余裕が、経営判断を鈍らせない唯一の方法である。
人間は、失敗することで成長していく。あの時の1500万円は一時的なキャッシュの損失を生んだが、あの出来事のおかげで、以後の私は、ほぼ常に心の余裕を自分の中に置きながら真実のふりをした幻想社会をありのままに見ることができるようになった。
収益物件を見るとき、新築物件を建てるとき、営業マンが話す言葉、銀行マンが語る話・・・。すべて、幻想との対話である。
その収益物件自体にいいか悪いかは存在していない。その収益物件を本気で欲しいかどうか、自分の心の中にその真実は存在しているのだ。
どんな新築物件を建てたらいいのか、市場分析自体に真実は存在していない。その市場分析結果を通して感じる自分の心の中にその真実は存在しているのだ。
経営者は、周りの環境に左右されてはいけない。周りの環境は、自分の心を投影した鏡なのだから。自分をセルフコントロールすることで、周りの環境は結果的に変わっていくのだということを知ることだ。そう。答えはすべて自分の心の中にあるのだ。
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そもそも節税は目的か?
不動産賃貸業は、使える経費が限られている・・・・。
よく聞く話だ。でも、本当にそうなのか?
最も大切なのは、たくさんの一般論ではなく、個別具体的な実態である。そこの部分を踏まえた上で、上手に活用していきたいものだ。
個人事業主の場合だと、繰越欠損金を損益通算できる青色申告に対応しておくのはもちろん、不動産管理会社を活用したフロー対策(節税)は必須。管理料の徴収で税務否認されないよう留意し、収益物件購入や新築物件建築に際しては、消費税還付を視野に入れて対応する。
そして、意外に見落とされがちなのが、税務署という組織の内部の仕組みを知っておくことである。どれぐらいの規模の不動産管理法人が、税務調査の対象になっているのか、またその時の担当者の税務署における在籍状況がどうか(正社員か再雇用職員か、担当か統括かなど)、税務職員録による予習をあらかじめしておく価値はあるだろう。
”敵を知り、己を知れば、百戦危うからず” さあ今日もファイトだ!
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